Melody : Archive
とにかく大好きで、とても大切な映画「小さな恋のメロディ」のストーリー、キャスト、ロケ地 – 詳細、サウンド・トラック、スタッフ、出版物、映像作品、チラシ等を紹介します。情報はこれからも順次追加していきます。
これから大人になる現代の子供たちにも、是非見てもらいたい映画です。
【 小さな恋のメロディ/Melody 】
1971年 イギリス映画 上映時間-106分
監督:ワリス・フセイン 脚本:アラン・パーカー 制作:デビッド・パットナム
主演:マーク・レスター/トレイシー・ハイド/ジャック・ワイルド
[公開日]
1971年4月21日:イギリス(ペギー役のKay Worsfoldによると、4月8日)
1971年3月28日:アメリカ
1971年6月26日:日本
1971年9月30日:アルゼンチン
2022年 マーク・レスター&トレイシー・ハイド 来日記念イベント!
ストーリー
ダニエル・ラティマー(Mark Lester)がトム(Jack Wild)と知り合ったのは少年団(Boys Brigade)のマーティング・バンドでのこと。ダニーの母が迎えに来た車に乗り込んだのが、トム・オーンショーだった。
彼らは同級生、学校はキリスト教系のお堅い校風だったが、逆に生徒たちは、みんな個性的で自由に彼らだけの世界を作っていた。同級生の中ではトムは一番のガキ大将、それに対してダニーは気の小さい紅顔の美少年だった。
ダニーの家は典型的な中流階級で、トムは貧しい労働階級だった。性格も生活環境も大きく違う二人だが、なぜか気が合い、トムがダニーのこづかいに嫉妬と怒りを表すような場面もあったが、時が経つにつれ大の仲良しになっていった。
ある日、学校で、トムは女子生徒がバレエの練習をしている部屋を見つけ、ダニーと遊び仲間を呼んで覗き見をしていた。その時、ダニーはその中にとてもチャーミングな子を見つけて一瞬で初めての気持ちに襲われた。感覚的によく分からないが、愛してしまったようだ。
彼女の名はメロディ・パーキンス(Tracy Hyde)、ダニーは放課後にこっそり隠れてメロディとその集団の後をつけるが、墓地で彼女達に見つかり笑われてしまった。
トムはダニーがメロディを好きになったことを、他の友達から伝言ゲームのようにメロディに伝えてしまう。
ダニーの生活は変わっていった。ランチ・タイムにメロディの隣りに座ろうとしたり、全校のリクレーションでメロディとダンスを踊ろうと試みるが、邪魔が入って上手くいかなかった。
一度だけ、音楽の演奏テストの時、待機室で偶然メロディと二人きりになったダニーは、彼のチェロとメロディのリコーダーで小さなセッションを楽しむことができた。
メロディも徐々にダニーのことを気に入っていた。彼女のことが頭から離れないダニーはラテン語の宿題を忘れ、常連のトムと一緒に放課後ディックス先生の部屋に呼ばれ、靴底でお尻を叩かれる体罰を受けることになった。
要領のいいトムは、ズボンにタオルを入れて痛さを軽減していた。一方のダニーは、トムに教えてもらったタオルを先生に見つけられ初めての痛さを味わった。
一足先に先生の部屋を出たトムは、一人廊下に立っているメロディを見つけた。トムはメロディに家に帰るように促すが、彼女はその場を動かなかった。
半泣きで先生の部屋から出て来たダニーもメロディに気づき、目が合った。メロディは初めて一瞬笑顔を浮かべた。トムは必死になってダニーを遊びに誘った。
トムはダニーを連れて行こうとするが、ダニーはメロディと一緒に歩き始め、トムは広い学校の講堂に一人残されてしまう。トムは最後に大声で「ダニー!」と叫んで、リュックを壁に叩き付けた。
ダニーとメロディの初めてのデートは木々の生い茂った誰もいない墓地だった。メロディがある墓石に刻まれた言葉を読んだ。「50年の幸せに…」「50年て長いわね、愛し続けられる?」「無理よね…」するとダニーは「できるよ、もう1週間愛してる」と答えた。
メロディはダニーを自宅のお茶の時間に連れて行き、家族を紹介した。メロディの父親はダニーの家と違って、とても話好きで楽しいお父さんだった。
月曜の朝、ダニーとメロディは電車に乗って海岸に向かっていた。クラスメイトの間では、二人が同時に学校を無断欠席した噂はすぐに広がってしまった。
海岸の移動遊園地や海水浴場で遊んだ二人は浜辺で砂の城を作っていた。ダニーが言った。「結婚しようか」、メロディは「いつかね、でも大人って本当に分からないわ」、ダニーは「大人になってからじゃ遅いんだ」と答えた。
翌日、登校した二人は校長室に呼ばれ、校長先生の説教を受けるはめになった。校長に対して、気の小さいダニーにしては珍しく強い口調で答えた。
「僕たち結婚したんです!」メロディも頷いた。
「君たちは結婚の意味が分かっていない」「この話はこれで終わりだ!」最初は優しい態度を見せた校長も、最後は剣幕で押さえつけた。
教室に帰ったダニーはトムを筆頭に、クラスメイト全員からからかわれた。メロディも同じだった。頭に来たダニーはトムに食いかかり、取っ組み合いの喧嘩になった。
鼻血が出るほどダニーがやられたところへ、ディックス先生が入って来て二人をつまみ上げた。
授業が始まって教室が静かになった時、トムが言った。「ごめんよ、僕が悪かった」トムは、ダニーとメロディを結婚させてやると心に誓った。
ダニーとメロディは初めてデートした墓地に座っていた。前と違ってこの時は雨が降っていた。濡れて帰ったメロディは両親に聞いた。「ダニーのことが好きなのに、どうして結婚できないの」「何故、みんな反対するの」答えは分からないままだった。
数日後、昼休みが終わった校長先生のところへ、ダニーの母から電話がかかってきた。彼女は「駆け落ちします」という置き手紙を見て半狂乱になってた。
教室へ確認に行った校長は、ダニーとメロディのクラスメイトが戻っていない事に気づき、一人残っていたダッズ(生徒)から高架下の廃墟で結婚式を行っていることを聞き出した。
校長は他のクラスの教師を集め、結婚式の会場だという現場に学校のバスで向かった。途中でダニーの母親も車で合流した。
高架下ではトムが牧師の役になって結婚式が進行していた。そこへ、ダッズがやって来て叫んだ。「逃げろ、ディックス先生が来る!」
生徒対先生で大騒ぎになった現場から、ダニーとメロディとトムは何とか逃げたが、ディックス先生は最後まで追いかけてきた。トムは草むらで古いトロッコを見つけると「これを使おう!」と言って、二人を乗せてトロッコを押し出した。
トムは手を振って「クラッパム・ジャンクションで乗り換えるんだぞ!」と言って二人を見送り、ディックス先生に立ち向かった。
トロッコを一緒に漕ぎながらダニーとメロディはどこまでも野原を走って行った。
キャスト
マーク・ㇾスター / Mark Lester
1958年7月11日 –
イギリス人・俳優 – 整体師
配役:ダニエル・ラティマー
子役でTVシリーズに出演後、ミュージカルと映画「オリバー!」(1968) でジャック・ワイルドと共演、28歳で俳優は引退した。
トレイシー・ハイド / Tracy Hyde
1959年5月16日 –
イギリス人・俳優 – 主婦
配役:メロディ・パーキンス
雑誌のキッズ・モデルとして脚本家の目に止まり、オーディションでメロディ役を獲得、その後数本の映画やテレビに出演した。
ジャック・ワイルド / Jack Wild
1952年9月30日 – 2006年3月1日(53歳没)
イギリス人・俳優
配役:トム・オーンショー
ミュージカルと映画「オリバー!」(1968) でマーク・レスターと共演、来日公演も行った。1970年代に主にテレビで活躍した。
シェイラ・スティフェル / Sheila Steafel
1935年5月26日 – 2019年8月23日(84歳没)
イギリス人・俳優
配役:ダニエルの母親
イギリスの映画やテレビ、舞台などに数多く出演し、BBCラジオのレギュラー番組もあり、サッチャー首相などの物真似も得意だった。
キース・バロン / Keith Barron
1934年8月8日 – 2017年11月15日(83歳没)
イギリス人・俳優/テレビ司会者
配役:ダニエルの父親
1960年代にイギリスのテレビドラマに数多く出演し、1970年代からは映画の世界でも活躍。
晩年まで俳優・司会者・ナレーターとして英国の人々に親しまれた。
ケイト・ウィリアムズ / Kate Williams
1941年2月26日 –
イギリス人・俳優
配役:メロディの母親
1960年代から現在まで、イギリスで多くの人気テレビ番組で活躍し、映画でも2000年までに約14本に出演している。
ロイ・キニア/ Roy Kinnear
1934年1月8日 – 1988年9月20日(54歳没)
イギリス人・俳優
配役:メロディの父親
リチャード・レスター監督の作品に多く出演、ビートルズの「HELP!」、ジョン・レノンの「How I Won the War」にも出演した。
「HELP!」の出演シーン▶
ジェームズ・コシンズ/ James Cossins
1933年12月4日 – 1997年2月12日(63歳没)
イギリス人・俳優
配役:校長先生(神父)
ジョン・レノンの「How I Won the War」、ジェームス・ボンド・シリーズの「黄金銃を持つ男」など多くの映画に出演している。
「黄金銃を持つ男」の出演シーン▶
ケン・ジョーンズ/ Ken Jones
1930年2月20日 – 2014年2月13日(83歳没)
イギリス人・俳優
配役:ディックス先生
リバプール生まれ、映画出演は「Melody」を含めて7本ほど、テレビドラマで1964年から2005年まで活躍した人気俳優
ケイ・スキナー/ Kay Skinner(Kay Worsfold)
1958年1月11日 – 2022年10月(64歳没)
イギリス人・俳優
配役:ペギー(メロディの友達)
「小さな恋のメロディ」のロケ地でもあるロンドンのハマースミスで生まれ、子役として多数の映画やテレビシリーズに出演した。
※現在は、Kay Worsfold
出演者 Photo:「小さな恋のメロディ」DVDより
ロケ地 – 詳細
● サイト内で、名シーンのロケ地を私のオリジナル写真とGoogleマップで紹介しています。
ロンドン近郊なら1日で、ランベス、バターシー、ハマースミスをゆっくり回って大満足の旅になるでしょう。余裕があればSOHOの公園や劇場に行ってみてください。
再開発によって、面影がなくなってしまった場所もありますが、まだまだ重要なシーンのロケ地がロンドンにはたくさん残っています。
【 ランベス地区(Lambeth)】
【 バターシー(Battersea)】
【 ハマースミス(Hammersmith)】
【 フラム(Fulham)】
【 ウエストブロンプトン(West Brompton)】
【 ウエスト・エンド(West end)】
サウンド・トラック
「小さな恋のメロディ」で使われた楽曲は映画のために作曲されたものではなく、その大半は ビージーズ の既存曲でした。映画のタイトルも、主役の「メロディ」の名も Melody Fair から決まったということです。
オープニングの In The Morning から、初デートの First Of May 、その他の曲もあまりにも映像とシンクロしていることから、初めに曲ありきで構成されたシーンでしょう。
そして、映画のエンディングに最もふさわしい1曲として、クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング の Teach Your Children が選ばれています。
ビージーズ / Bee Gees
ビージーズ オリジナル曲(劇中)
・In The Morning
・Melody Fair
・Spicks And Specks(オーケストラ・バージョン)
・Give Your Best
・To Love Somebody
・First Of May
オリジナル・バージョン収録アルバム
クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング / Crosby, Stills, Nash & Young
クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング オリジナル曲(劇中)
・Teach Your Children
オリジナル・バージョン収録アルバム
リチャード・ヒューソン・オーケストラ オリジナル曲(劇中)
・Romance Theme in F
・Working on It Night And Day(with Barry Hewson)
・Seaside Banjo
・Teachers Chase
サウンド・トラック・アルバム
スタッフ
【原作・脚本】
アラン・パーカー / Alan William Parker
1944年2月14日 – 2020年7月31日(76歳没)
出生地:ロンドン・イズリントン
デビッド・パットナムの友人で、「小さな恋のメロディ」で初めての原作・脚本を手掛け、1976年の映画「ダウンタウン物語」で監督デビュー、1978年の監督作品「ミッドナイト・エクスプレス」で高評価を得た。
英国映画界への貢献に対して、1995年には大英帝国勲章司令官(CBE)、2002年にはナイトの爵位を受けた。
【監督】
ワリス・フセイン / Waris Hussein
1938年12月9日(年齢 85歳)
出生地:インド・ラクナウ
9歳のとき両親とともにイギリスに移住し、クリフトン校(Clifton College)からケンブリッジ大学に進学した。
1963年から主にBBCのテレビ番組の監督として、多くの作品を手掛けている。映画での監督作品は少ない。
【制作】
デヴィッド・パットナム / David Puttnam
1941年2月25日(年齢 83歳)
出生地:ロンドン・サウスゲイト
1960年代後半から映画プロデューサーとして活動を始め、「小さな恋のメロディ」・「ミッドナイト・エクスプレス」・「キリング・フィールド」他のヒット作品を手掛け、数々の映画賞を受賞・ノミネートされるなど高評価を得た。
1983年に大英帝国勲章司令官(CBE)を受けた。
【撮影】
ピーター・サシツキー / Peter Suschitzky
1941年7月25日(年齢 82歳)
出生地:ロンドン
ロンドン生まれロンドン育ちのポーランド系イギリス人で、父親と同じ撮影監督の道を選択した。「ロッキー・ホラー・ショー」「スターウォーズ/帝国の逆襲」「恋に落ちて」他、数々のヒット作を手掛け、ジニー賞撮影賞を4度受賞している。
出版物
書籍に関しては、こちらのページをご覧ください!
サントラ盤 & 映像作品
サウンド・トラック(LP/CD)及び、ビデオテープ、LD、Video-CD、DVD、Blue-ray 等の映像作品に関しては、こちらのページをご覧ください。
チラシ
映画館上映のチラシ:日本では何度もリバイバル上映されていますが、これは比較的古い70年代のリバイバル上映。2019年に惜しまれつつ閉館した、有楽町スバル座の告知です。
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参考文献:
小説「小さな恋のメロディ」アラン・パーカー(近代映画社)
英和対訳映画文庫「小さな恋のメロディ」(南雲堂)
スクリーン「小さな恋のメロディ」特集号(近代映画社)
「小さな恋のメロディ」映画パンフレット(東宝/日本ヘラルド映画)
※上記「出版物」で紹介しています。